
男は笑ったら負けよ、女は笑ったら勝ちよ
子供の頃の遊びににらめっこという遊びがあった。 「だるまさん、だるまさん、にらめっこしましょう、わらったら負けよ あっぷぷ」と言い合った後、子供たちはにらめっこをするのである。
相撲やボクシングなどの格闘技では試合が始まる前に競技者は向かい合って睨み合う。この時、競技者が笑顔を見せれば、その競技者は負ける可能性が高いことを、最近の研究(Smile: You Are About to Lose, A surprising clue to who will win a fight)は示している。
実際、笑顔を見せると言う動作は、敵意がないということの表明である。猿などの霊長類では、歯をむいて笑った表情を見せることは、余計な摩擦を避けるために敵意がないことを示すしぐさであることが知られている。
テストステロンという男性ホルモンが多いと笑顔を見せる傾向が少ない。男性ホルモンが少ないということは、より攻撃的でないということである。試合前の表情は競技者の無意識の現れである。笑った競技者は、相手が強いと意識しており、それほど攻撃的になれないということであり、試合に負けやすい。それに対し笑顔を見せられた競技者は、より攻撃的になり、より勝ちやすい。もちろん戦略として、笑顔を見せて自分が弱いと信じ込ませて、相手の隙を誘うということも考えられる。しかし実際にはその戦略は働かない。
女性においては笑顔は全く別の意味合いを持つ。学校時代の写真集の表情を分析すると、より笑顔を示す女性は、それ以後の人生において幸福になる傾向が高い。結婚も上手くいく可能性が高い。つまり女性は笑ったら勝ちなのである。
ただし、男性に於いても「笑ったら負け」というのは、闘争の局面だけであることに注意しよう。それ以外の人生に於いては、笑いやすい男性の方が幸せである。怒りをコントロールできない子供は、それ以後の人生でも、学校の成績が悪く、良い仕事に就けず、離職しやすく、離婚しやすいことが知られている。というのも怒りをあらわにする人間の回りには、人は寄り付かないからである。