
二酸化炭素の増加は地球の緑化を促進する
地球温暖化に関して、世間では二酸化炭素は悪玉とされており、それを出さない方策や、どこかに埋めてしまう技術などが議論されている。しかし二酸化炭素には地球の緑化促進という効果があることが最近の研究で明らかになった。それもジャングルではなく、砂漠などの不毛な地帯で効果が大きい。スペースデイリーの解説記事を参照のこと。
私が光合成を専門として研究している学者とお話ししたとき、彼は地球温暖化に関連しての二酸化炭素悪玉論に憤慨していた。「二酸化炭素が増えることは植物にとって良いことなのです。」実際、植物の光合成量は温度と二酸化炭素濃度の関数であり、どちらも増えると光合成量も増大する。温室栽培する作物で、温室内で火をたいて二酸化炭素を意図的に増やして収穫を増やすことさえ行われている。つまり地球温暖化と二酸化炭素量増加は植物にとってはよいことなのである。植物に取ってよいことは、動物にとっても良いことで、結局、人間にとっても良いことなのだ。
最近の「二酸化炭素の肥料効果は地球の、暖かい不毛な土地の緑化を促進した(CO2 fertilisation has increased maximum foliage cover across the globe's warm, arid environment)」と題した論文によると、1982年から2010年までの人工衛星観測で、地球の緑化は顕著に増えている。その原因として、これまで研究者は地球温暖化、湿度の増加などを考えて来た。しかし今回の研究で、緑の増加は二酸化炭素の増加と大きな関係があることが分かった。モデルと観測を比較して、二酸化炭素はこの期間に緑化を11%増大させたことが分かった。熱帯雨林のようなところは既に緑にあふれているので、二酸化炭素増加の効果は小さい。むしろ砂漠などの不毛な土地に対する効果が大きい。また二酸化炭素の効果は草よりも、樹木に対する効果が大きい。樹木の草原への浸食が観察されているのは、そのためであろう。論文のアブストラクトを参照のこと。
以下は私の感想であるが、スケプティックな精神(懐疑的精神)とは、世間で声高に言われていることも「本当にそうか?」と考え直してみることである。
興味ある読者はNPO法人「あいんしゅたいん」のブログ記事も参照のこと。