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コラム
幸福を買う為のお金の使い方
2013年6月27日
以下の文章は、ハーバード大学の准教授マイケル・ノートン(Michael Norton)とエリザベス・ダン(Elizabeth Dunn)の研究「幸福なお金: 賢いお金の使い方の科学」についての、著者のノートンへのインタビューの要約である。
http://www.scientificamerican.com/article.cfm?id=using-money-to-buy-happiness&offset=2
お金と幸福の関係に関する最大の誤解
人々はお金があればあるほど幸福だと考えている。確かに、たくさんお金を持つことが人を不幸にする訳ではないが、しかし幸福を保証するわけでもない。身の回りの裕福な友達や同僚を見ても、それほど幸福とも思えない。どうしたら金を儲けられるかと考えるよりも、既に持っているお金を有効に使って幸福になることを考えるべきである。
物より経験を買え
人々にひと月の支出をリストアップしてもらうと、彼らはものをたくさん買っていることが分かる。例えば小物、音楽とか本とかなどである。ものを買うことが幸福にとって悪いわけではない。コーヒーや車、家を買うことが、我々を不幸にするわけではない。しかしより幸福になるわけでもない。
それに比較すると、経験を買うことは人々をより幸福にする。例えばテレビを買うことを考えてみよう。 4,000ドルもするような高級テレビを買うことは確かにすばらしい。しかし例えばそのお金で毎回100ドルの食事を40回することと比較してみればどうだろか。テレビは1人で見るが、食事は人と一緒にするものだ。人との交流こそが幸福の鍵なのだ。ものを買うより経験を買う方が幸福になる。
旅行を計画している人々に対するアドバイス
旅行はしているときよりも、準備段階のほうが幸福なのだ。これは一見奇妙なことである。旅行の目的はそこに行って幸せになることである。しかし旅行自体よりも、旅行に行くと考えることのほうが人々を幸福にする。例えばクリスマスを待つ子供たちのことを考えてみれば分かるだろう。オフィスで旅行を夢想する方が、旅行自体よりもワクワクするものなのだ。上司に取ってはうれしくないことだが。
多くの人は旅行の費用をクレジットカードで支払う。私は現金で先払いすることを勧める。例えば旅行中に食事をするたびに、横に人がいて、金を請求する状況を想像したらよいだろう。あまり楽しい話ではない。すべての費用を先払いにしておけば、苦痛は先、楽しみは後ということになる。
幸福と時間の関係
大金を儲ける人は、金を使う時間がないとこぼす。重要なことは、人々を幸福にする時間を最大にする金の使い方をすることだ。例えば郊外に素敵な家を買うことを考えてみよう。実際アメリカ人は、家を買うことがアメリカンドリームの最大の要素であると考えている。家を買って裏庭でバーベキューをするのは素晴らしいことだ。しかし郊外に家を買ったせいで、毎日2時間の通勤をしなければならないはめに陥る。立派な家を買って、毎日2時間通勤することが幸福なのだろうか。幸福な時間を最大にするような買い物をすべきである。
贈り物について
贈り物をすることは、贈られた人の幸福を増やすと考えがちである。しかし研究によると、贈り物は贈られた人よりも、贈る人を幸福にするのである。それはアメリカでも南アフリカでも、カナダでもウガンダでも、同じことだ。贈り物であれ寄付であれ、自分自身のために金を使うよりは、人のために金を使うほうが幸せになるのである。
この次にスターバックスに行ったときに、他の人にコーヒーをおごることを考えてみよう。スターバックスに行けないなら、友人にコーヒーを送ろう。
機会コスト
人々は気づいていないのだが、機会コストというものがある。何かを買うということは、何かを諦めるということである。例えば1,000ドルのステレオと1,100ドルのステレオを買うことを考えてみよう。我々は普通、どちらのステレオが良いかと考える。しかし1,100ドルのステレオと、1,000ドルのステレオプラス100ドルの音楽というふうに考えてみよう。そう考えれば1,000ドルのステレオのほうが、はるかにすばらしい。
金と幸福の関係も同じことだ。我々は家とか車、フラットテレビなどを買うことで幸せになれると考えている。我々は金をほとんど、これらの物を持つために使う。しかし何か物を買う前に考えてみよう。このお金でほかに何かすることができないか? 自分の幸せを最大限にする最も良い方法で、お金を使っているだろうか? もしそう思えないのなら、財布をしまおう。
松田 卓也
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